機動新世紀ガンダムⅩ / After War Gundam X

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1996年にテレビ朝日系列で放送されたオルタナティブシリーズの3作目。大戦後の荒廃した世界を舞台としており、物語当初は明確な敵組織が存在しないという珍しい作品。オルタナティブシリーズでありながら、宇宙世紀で取り上げられた「ニュータイプ」という題材に向きあっており、ガンダムという作品に対いするメタフィクション的投影が見られる。テーマは「ガンダムを考えるガンダム」。

画像引用元:『機動新世紀ガンダムⅩ 公式サイト』©創通・サンライズ

概要

  • 監督:高松信司
  • シリーズ校正:川崎ヒロユキ
  • キャラクターデザイン:西村誠芳
  • メカニックデザイン:大河原邦男、石垣純哉
  • 音楽:樋口康雄
  • アニメーション制作:サンライズ
  • 製作:テレビ朝日、サンライズ
  • 放送期間1996年4月5日 - 12月28日
  • 話数:全39話

設定

世界観(アフター・ウォー)

「地球統合連邦政府(旧連邦)」とスペースコロニー群「クラウド9」を中心とした宇宙革命軍との全面戦争――「第7次宇宙戦争」の終結から15年後の世界が舞台となる。この戦争により、戦前に100億人を数えた地球人口は約1億人にまで激減。中央政府は瓦解し、世界は無秩序な社会へと転落した。文明や技術水準も大きく後退し、人々は荒廃した環境の中で生き延びている。

宇宙では多くのコロニーが失われた一方、クラウド9を中心とする勢力が国力の回復と軍隊の再編を進め、再び地球への侵攻を計画していた。地球側では、コロニー落としによる環境破壊が深刻であったが、A.W.005年頃には自然の沈静化が見られるようになっていた。

政治的にも、旧地球統合連邦政府はすでに存在せず、全世界的な統治機構は消滅していた。その中で沿岸部を中心に戦後独立国家や自治都市が誕生し、新たな秩序を模索している。一方で、旧連邦の関係者たちは「政府再建委員会」を設立し、新連邦政府の樹立と地球圏再統一を目指す動きを見せ始めていた。

モビルスーツ

第7次宇宙戦争終結後、地上には旧地球連邦軍および宇宙革命軍が運用していたモビルスーツ(MS)をはじめとする多数の兵器が残置された。これらは「バルチャー」と呼ばれる漂泊的集団によって収集され、再利用されることで彼らの軍事的基盤を形成していた。戦争の余波によって工業生産力は著しく低下し、新規に兵器を開発・製造することはほぼ不可能となっていたため、既存の残存兵器は高額な交易品として流通することとなる。特に大気圏内外での運用が可能な航空戦力は希少価値が高く、その確保は生存と勢力維持のための優先課題であった。

一方、戦後の混乱を収拾するために組織された「政府再建委員会」は、後に新地球連邦軍へと発展し、限定的ながらも新型兵器の研究・開発を継続していた。こうした背景により、戦後世界の兵力構造は「旧戦争遺産の流通と再利用」と「限定的な新規開発」とが併存する独特の様相を呈していた。

バルチャー

バルチャーとは、第7次宇宙戦争後の荒廃した世界において、旧軍事施設や戦場跡に残された兵器残骸や電子部品を回収・売買する集団を指す呼称である。その行動形態が、死骸を漁る禿鷹(vulture)に擬えられたことに由来する。

秩序が崩壊した戦後世界において彼らは、自衛と活動継続のために戦艦やモビルスーツで武装し、多くの場合は集団を形成して行動した。用心棒としてMS乗りを雇う事例もあり、単なる廃品回収者を超えた「準軍事集団」としての性格を帯びていった。

バルチャーの起源は、戦後復興のために必要な資材を調達する廃品回収業にあった。初期には旧連邦軍の施設に残存する兵器や部品を修復し、復興地域や流通業者へと供給していた。社会システムが再構築されるにつれ、彼らは保有戦力を活用して物資輸送・人員移送・傭兵業などを請け負うようになり、戦後経済活動の下支えとして一定の役割を果たした。

しかし同時に、武装を強盗や略奪目的に用いる者も少なくなく、A.W.0015年の時点では一般市民から忌避される存在となっている。さらに復興の進展に伴い、回収物資の枯渇や技術水準の回復、新たな法制度による非合法化などによって、その存在は衰退しつつあるとされる。

なお、本作の主人公ガロード・ランが所属する戦艦「フリーデン」もまた、こうしたバルチャー集団の一つに位置づけられている。

ニュータイプ

「『機動新世紀ガンダムX』におけるニュータイプは、宇宙世紀シリーズで描かれたものとは異なり、政治的・軍事的文脈においてより実利的かつ道具的に規定されている。旧地球連邦政府では、ニュータイプを無人モビルスーツ「フラッシュシステム」を精神波で遠隔操作できる能力者として定義しており、その存在は人類進化論的な視点ではなく、純粋に兵器システムを運用可能か否かという基準によって判断されていた。このため、個人の人権や人格は顧みられず、あくまで戦力の一部として扱われる傾向が強かった。

一方、宇宙革命軍においては、ニュータイプは「宇宙に適応した新人類」という広義の概念として用いられ、宇宙に居住するスペースノイド全体を潜在的なニュータイプとみなし、人類の新しい指導的存在と位置づける「ニュータイプ主義」が展開された。これは選民思想や思想統制の基盤となり、政治的正統性を主張するための手段として利用されている。

宇宙世紀作品群におけるニュータイプがしばしば「進化した人類」として理想化されつつも戦場で利用され悲劇を生む存在として描かれるのに対し、『ガンダムX』ではその道具性がさらに強調され、軍事技術や思想統制を通じて制度的に利用・搾取される点に特徴がある。すなわち、ニュータイプの「人類の進化」という可能性は顧みられず、「戦争を維持するための資源」として扱われているのである。

主要人物&主要メカ

ガロード・ラン

第7次宇宙戦争によって荒廃した地球に生まれた少年。幼少期に家族を盗賊に殺され、以後は天涯孤独の身となり、ジャンク屋やモビルスーツ狩りで生計を立てていた。15歳になる頃にはすでに腕利きとして知られる存在となり、生身でモビルスーツを制圧するほどの能力を身につけていた。そんな彼の運命は、ある依頼を通じてティファ・アディール、そしてガンダムエックスと出会ったことで大きく動き出す。

ティファ・アディール

地球生まれのニュータイプ。研究施設アルタネイティブ社に幽閉されていたが、ジャミル・ニート率いるフリーデン一行によって救い出される。その後、フリーデンに忍び込んだガロードと出会い、彼をガンダムエックスのもとへ導くことで物語の大きな転機をもたらす。

ジャミル・ニート

バルチャーとして陸上戦艦「フリーデン」の艦長を務めている人物。ニュータイプの保護を目的としており、アルタネイティブ社からニュータイプのティファを救出した。

ガンダムエックス GX-9900

第7次宇宙戦争において旧地球連邦軍が開発したニュータイプ専用ガンダムタイプMSの一機。旧連邦の軍事施設跡に眠っており、ガロードが持っていたGコントロール・ユニットとティファのニュータイプ能力によって起動する。

フリーデン

旧地球連邦軍が開発したアルプス級の双胴型陸上戦艦を改装した戦艦。ホバー航行により、陸上だけでなく海上の航行も可能。物資の集積や交易を主な生業としているため、武装は艦前左右の二連主砲一基と対空機銃のみとなっている。

あらすじ

ひとつのスペースコロニーの独立運動から始まった戦火は、やがて地球とスペースコロニーとの全面戦争へと拡大した。コロニー落としにより地球は壊滅的な被害を受け、100億に及んだ人口はその大半を失うこととなる。それから15年、荒廃した地球環境はようやく安定を取り戻しつつあった。

戦後の混乱期に生まれた少年ガロードは、モビルスーツに関する卓越した知識と技量を持ち、戦災孤児として荒廃した世界を生き抜いていた。彼は、ニュータイプの力を持つがために追われる少女ティファと出会い、彼女の不思議な導きによって戦争の遺産であるモビルスーツ「ガンダムX」を発見するのだった。

参考文献

  • Wikipedia 機動新世紀ガンダムⅩ
  • ピクシブ百科事典 機動新世紀ガンダムⅩ
  • 『機動新世紀ガンダムⅩ』 創通・サンライズ

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