MS-05 ザクⅠ

モビルスーツ/兵器

MS-05 ザクⅠ

ジオン公国軍が開発した、宇宙世紀における人類初のモビルスーツ。後継機であるMS-06ザクIIに主力の座を譲ったことから、「旧ザク」の通称で呼ばれる。

動力パイプが装甲内に内蔵されるなど、設計には未完成な部分もあったが、一部の補給部隊などで戦争終結まで運用され続けた。

開発と性能

ジオン公国は地球連邦からの独立を目指し、ZIONIC(ジオニック)社の協力のもとでモビルスーツの開発を進めた。

公国軍は、ミノフスキー粒子の散布による電波障害下でも有効に機能する新たな兵器を求めていた。その要求に応える形で、燃料消費を大幅に抑えるAMBAC(姿勢制御システム)を採用し、超小型の核融合炉と流体パルスシステムを搭載した人型兵器が誕生。こうして、初の実用モビルスーツ「MS-05 ザクⅠ」がU.C.0074年2月に完成した。

ジオン公国の国旗
ジオニック社のロゴ

開発経緯

U.C.0070年3月、ジオン公国軍はミノフスキー粒子の散布による電波障害に注目し、レーダーが無効化される環境下でも有効に機能する新兵器の開発を開始した。

しかし、当時の宇宙兵器は姿勢制御のたびに大量の燃料を消費し、公国軍が求める性能には達しなかった。これを解決するため、ジオニック社は可動肢を備えた宇宙機動兵器のコンセプトを提案し、社内プロジェクト「S・U・I・T計画」を立ち上げる。

この計画のもと、人体を模した機体に小型核融合炉と流体パルスシステムを導入し、U.C.0073年にはモビルスーツの基本形が完成。MS-01(ZI-XA3クラブマン)からMS-03の試作機を経て、MS-04プロトタイプザクが誕生した。

さらに改良が加えられ、U.C.0074年2月にMS-05ザクが完成。同年5月には、機体外部に設置されていた動力・制御系の機器をすべて装甲内に収めた実戦仕様の量産機がロールアウトした。

初期の歩行試験。人型であるもののモビルスーツのイメージからは程遠い
MS-05を監査するジオン軍高官たち

生産数

初期の先行試作量産型であるAタイプは27機が生産され、主に訓練運用や実戦投入に使用された。

その後、Aタイプのデータをもとに改良が施されたBタイプが開発され、最終的に約820機が生産された。Bタイプの多くは教導機動大隊の編成に組み込まれ、戦争初期の戦闘で運用された。

初期先行試作量産型MS-05A
外観形状は量産採用のBタイプとほとんど変わらない

性能

本機は、全身を外骨格で支えるセミモノコック構造を採用し、内部の機器を保護している。動力には胴体部の熱核反応炉を利用し、発生したエネルギーをパルス状の圧力に変換して全身の駆動系に供給する流体パルスシステムを搭載。頭部にはモノアイによる外部映像認識装置と各種複合センサーを備え、この構造は後の機体にも引き継がれた。

しかし、ボディ内の容積率の問題により動力系の性能向上には限界があり、拡張性が乏しかった。そのため、稼働時間や戦術運用面での課題が浮上し、高性能化を目的に後継機であるザクⅡの開発が進められた。

武装は、初期型の105mmザクマシンガンや接近戦用のヒートホークを装備。また、使い捨てロケット弾のシュツルムファウストや、各種弾頭の発射が可能な280mmバズーカーも使用できる。

主武装のザクマシンガンを装備したMS-05
フル装備のMS-05

戦争後期

後継機であるMS-06ザクⅡの生産が順調に進むと、ザクⅠを擁する部隊編成は次第に更新され、ザクⅠは主に輸送や補給部隊の護衛など、兵站任務を担うことが多くなった。

戦後はジオン残党によって改修機が使用され、限られた戦力を補う形で再び活躍を続けることとなった。

宇宙要塞ア・バオア・クーに配備されたMS-05
ガンダムUCに登場したザクⅠスナイパー

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