ソレスタルビーイング / Celestial Being

画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

『機動戦士ガンダム00』に登場するソレスタルビーイングは、天才科学者イオリア・シュヘンベルグが西暦2100年頃に構想し、以後200年以上にわたって水面下で準備を重ねた末に始動した私設武装組織であり、単なる反戦・平和主義を掲げる実力組織ではなく、人類史そのものに強制的なパラダイムシフトを引き起こすために設計された、きわめて精緻な社会工学的システムである。 その中核をなす「イオリア計画」は、圧倒的な軍事技術を背景とした全世界への無差別武力介入という、一見すると常軌を逸した手段を起点に据えながら、数世紀規模の射程で人類を次の段階へと導くことを目的としていた。

本稿では、この組織が内包していた三段階の設計図から、その頭脳である量子演算システム「ヴェーダ」を巡る攻防、人工生命体イノベイドの進化論、そしてガンダムという兵器体系そのものの技術的到達点まで、ソレスタルビーイングという「歴史上の巨大な触媒」の全貌を多角的に解き明かしていく。


イオリア計画 ― 三段階の人類改造プログラム

西暦2307年、化石燃料が完全に枯渇した地球では、新たな基幹エネルギーである太陽光発電システムと、それを支える軌道エレベーターの利権を巡って、世界は三つの超大国群に分裂していた。アメリカ合衆国を中心とした「ユニオン」、中国・ロシア・インドを中心とした「人類革新連盟」、そしてヨーロッパ諸国を中心とした「AEU」――この三大陣営は、それぞれが軌道エレベーターを1基ずつ独占し、自国の威信と繁栄のためだけに冷戦と局地戦を延々と繰り返していた。300年の時を経てもなお、人類は一つになることができずにいたのである。

こうした膠着した世界に対し、イオリアが遺した「イオリア計画」は、三段階の明確なステップによって人類を次の相へ導くことを企図していた。第一段階は、ソレスタルビーイングが保有する圧倒的な技術的優位性を背景とした、世界中のあらゆる国家・組織による戦争行為・紛争への無差別な武力介入である。この段階の本質は、単に紛争を鎮圧することではなく、地球圏全域に「共通の圧倒的な敵対者」を提示することで、対立し合う国家群に抑止力を働かせ、不可避的に人類共通の軍事・政治機構の樹立を余儀なくさせるという、弁証法的な力学にあった。

第二段階は、武力介入の反作用として誕生する統一政府――地球連邦政府――による軍備の統轄と、社会構造そのものの再編である。国家間の境界を無効化し、人類が単一の意思決定機関のもとで統治される基盤を完成させることが、この段階の目標であった。

そして最終段階となる第三段階が、人類の外宇宙進出と、そこで遭遇するであろう異種生命体との「来るべき対話」への備えである。人類が地球圏内部での矮小なナショナリズムやエゴイズムを抱えたまま外宇宙へ進出すれば、宇宙規模での破滅的な衝突を招きかねない。イオリアは、武力介入という極論を用いてでも人類の意思統制と精神的変革を促し、種としての一体性を確保したうえで未知との遭遇に臨ませることを、計画の最終地点に据えていたのである。

コラム|現実の三極構造という下敷き
「ユニオン」「人類革新連盟」「AEU」という劇中の三大国家群は、単なる架空の設定ではなく、2000年代当時の国際情勢を色濃く反映した近未来予測として設計されている。米国を中心とする経済圏、中国・ロシア・インドという新興大国連合、そしてEUを中心とする欧州圏という三分割は、冷戦後の多極化する世界秩序に対する一つの外挿と見ることができるだろう。作品が「西暦」という現実の暦を初めて採用し、300年後という射程で描いたのも、この三極構造を絵空事ではなく、現実の延長線上にある未来として提示する狙いがあったと考えられる。

武力介入をおこなうソレスタルビーイングのガンダムエクシア
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

中枢頭脳「ヴェーダ」― 200年を統べる量子演算システム

ソレスタルビーイングのすべての戦術立案、人的資源の配置、技術開発、そして意思決定の核となるのが、西暦2100年頃にイオリア・シュヘンベルグによって建造された量子型演算処理システム「ヴェーダ」である。ヴェーダは誕生から約200年間にわたり最新鋭の技術による改修とメンテナンスを継続的に受け続け、ソレスタルビーイングという組織の超法規的な作戦遂行能力そのものを、その内部から支え続けてきた。

作戦行動時、ソレスタルビーイングの実働部隊――プトレマイオスチームに代表される現場組織――は、ヴェーダが提示する膨大な予測データと推奨計画を土台に、スメラギ・李・ノリエガのような戦術予報士が導き出すプランとのすり合わせを行うことで、戦術を最適化させていた。システム内部には情報の重要性に応じた厳格なセキュリティレベルが敷かれており、このアクセス階層こそが組織内の権力構造を色濃く反映していた。現場指揮官であるスメラギの権限は「レベル4」に設定されていたとされる一方、組織の健全性を監視する「監視者」の権限は「レベル3」に限定されていたという。実働要員でありながらイノベイドでもあるティエリア・アーデには、専用のアクセスルームを介してシステム上層部へ直接アプローチできる「レベル7」という最高権限が付与されていたとされ、彼の存在がヴェーダという頭脳と現場とを繋ぐ特異な結節点となっていたのである。

ヴェーダにアクセスするディエリア・アーデ
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

ヴェーダ陥落 ― ハッキング、簒奪、そしてティエリアの同化

絶対的な機能性を誇ったヴェーダは、同時にイオリア計画を脅かしかねない最大のボトルネックでもあった。実働部隊が日常的に使用していた外部通信端末――ハロタイプの解析を端緒として、システム内部へのデータ改竄とハッキングが実行されたのである。この侵入により、計画の正規ルートには存在しないはずの独立介入部隊「チームトリニティ」が挿入されるという異常事態が発生し、さらにソレスタルビーイングの最大の技術的秘密である「GNドライブ(太陽炉)」の設計データそのものが、組織の外部へと流出してしまう。

この情報流出は、アレハンドロ・コーナーやリボンズ・アルマークといった野心家たちに利用され、最終的には月面に設置されていたヴェーダのメイン本体そのものが、リボンズ一派――イノベイター勢力――によって掌握されるに至った。システムを掌握したリボンズらは、月面の旧システムから、小惑星を改造した全長15kmに及ぶ恒星間航行母艦「ソレスタルビーイング号」内部へと、ヴェーダのメインシステムを移転・移植する。なお、月面に残された旧システムの抜け殻は、後に外宇宙開発機関や独立分子であるフォン・スパークらによって独自に解読・運用されることとなった。

ヴェーダ本体の奪還と統合が達成されたのは、イノベイター勢力との最終決戦の局面である。実働要員でありながらイノベイドでもあったティエリア・アーデは、自らの肉体を失いながらも意識を量子データ化し、ヴェーダそのものと完全に「同化」した。ヴェーダと一体化したティエリアは、リボンズによる内部統制を排除してソレスタルビーイングのシステム制御権を取り戻すとともに、イオリア計画の真の目的を、組織の全構成員、そして人類全体へと示唆することになったのである。

量子型演算処理システム「ヴェーダ」の本体
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

人工生命体「イノベイド」 ― マイスター型と端末型

イオリア計画を、人間社会が抱える不確定要素に左右されることなく着実に遂行するために製造された生体端末群が、人工生命体「イノベイド」である。イノベイドは、特定の遺伝子・塩基配列パターンを抽出し、合成細胞を用いて肉体を構築した人工生命体であり、自力での新陳代謝を行えない代わりに、体内に投与された有機ナノマシンが代謝および不老の維持を担っている。その本質は無性・中性であり、人間社会に溶け込む必要性や特定の任務上の要求がある場合にのみ、個別の性別が機能的・外見的に付与される。同一の塩基配列パターンを持つ個体が複数存在し、役割に応じて個体ごとの意識や記憶がヴェーダ上で管理・書き換えされる点も、人間とは根本的に異なる存在様式を示している。

イノベイドの役割は、主に「マイスター型」と「端末型」の2種に大別される。マイスター型はガンダムの操縦を含む戦闘・作戦の直接遂行を担う一方、端末型は全世界の主要政財界、研究機関、一般社会へ何万人規模で配置され、自身がイノベイドであることを自覚しないまま無意識下でヴェーダへ情報を送信し続ける、潜伏スパイとして機能していた。

分類タイプ代表的個体例身体的・生理的特徴組織内における主たる任務
マイスター型ティエリア・アーデ、リヴァイヴ・リバイバル、ヒリング・ケア中性ベース。戦闘適性と高負荷な脳量子波処理能力、高いMS操縦技術に最適化ガンダムの操縦、作戦直接遂行、ヴェーダ上位アクセス権限の運用
端末型(情報収集型)アニュー・リターナー ほか潜伏型イノベイド群人間社会への定着を図るため、明確な性別と感情的親和性が付与される人間社会への潜伏、諜報活動、情勢データの収集
特殊指揮・管理型リボンズ・アルマーク、レイヴ・レチタティーヴォE・A・レイの遺伝子をベースとし、高い能力と強固な自己意識を持つイオリア計画の進行管理、ヴェーダの運用補助(後に計画の掌握へ逸脱)
リボンズ・アルマークとイノベイドたち
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

脳量子波と「真のイノベイター」― イオリアが見据えた到達点

イノベイド群に共通する物理的特性は、GN粒子を触媒として発信される「脳量子波」を送受信する能力にある。脳量子波は、電子機器の操作、ヴェーダへの長距離直接アクセス、さらには広域にわたるテレパシー的な思考伝達を可能にする特殊な生体波動であり、ニュータイプ能力に対する一つの科学的アプローチとして設定されている。

しかし、イノベイドはあくまで「計画を先導し支えるための暫定的な道具・人工体」に過ぎない。イオリアが最終的に人類の到達点として見据えていたのは、イノベイドそのものではなく、高濃度のGN粒子を継続的に浴びることで遺伝子レベルの変革を果たした人間――「真のイノベイター(純粋種のイノベイター)」であった。首魁リボンズ・アルマークをはじめとする一部のイノベイドは、自らを「旧来の愚かな人類を支配・指導する選民」であると誤認し、「自称イノベイター」として君臨しようとしたが、これはイオリアの本来の意図を著しく歪曲したものにほかならない。刹那・F・セイエイがダブルオーライザーから発せられる高濃度の純粋粒子によって「純粋種のイノベイター」として覚醒した事象こそが、イオリアが第三段階の「対話」へ向けて求めた、真の人類変革の姿だったのである。

コラム|ニュータイプ論とイノベイター論の並走
宇宙世紀を舞台とする作品群における「ニュータイプ」と、本作の脳量子波・イノベイターは、いずれも「人類が宇宙という環境に適応する過程で獲得する、新たな認識能力」という共通の主題を扱っている点で興味深い並走関係にある。ニュータイプ論が宇宙空間での知覚拡大という漠然とした概念であったのに対し、イノベイター論はGN粒子という具体的な媒介物質と、脳量子波という測定可能な生体波動によって、その能力を科学的・工学的に裏付けようとした点に大きな違いがある。異なる時代・異なる制作陣によって描かれたこれら二つの概念が、結局のところ「人類は対立を超えて対話に至れるか」という同じ問いに帰着していく点は、ガンダムという作品群全体を貫く一貫性を感じさせる。

純粋なイノベーターとして覚醒する刹那・F・セイエイ
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

影の協力者 ― フェレシュテ、パトロン、そして監視者の裏切り

ソレスタルビーイングの活動は、表面化している実動部隊――プトレマイオスチームのみで完結するものではない。その裏面において介入活動の整合性を保ち、予備技術の評価やデータの補完を担うシャドウ組織として存在したのが「フェレシュテ」である。フェレシュテは、かつて第2世代ガンダムマイスターであったシャル・アクスティカが提案し、ヴェーダの承認を得て発足した組織であり、武力介入の本隊が使用する第3世代ガンダムの前身にあたる第2世代ガンダム群――アストレア、サダルスード、アブルホール、プルトーネ等――を改修・保管・運用しながら、表の部隊が動きやすいように事前に障害を除去し、戦闘後の機密保持・撤収作業を影から支援していた。フェレシュテのマイスターには、拘束具を装着された重犯罪者フォン・スパークが抜擢されており、破天荒ながらも卓越した洞察力と戦闘能力を持つ彼の存在が、本隊の失敗やチームトリニティの不規則介入といった予期せぬトラブルへのバックアップ構造を支えていた。

こうした超天文学的な開発費・維持費と世界各地での諜報網を支えていたのは、独自の経済基盤と政治的スポンサーのネットワークである。代表的な存在が、中華系の政財界に巨大な影響力を誇る王家の現当主・王留美(ワン・リューミン)である。彼女はプトレマイオスチームに対して秘密拠点、潤沢な運用資金、物資手配、政治的庇護を提供する一方、他のエージェントや政治勢力との中継役としても暗躍していた。

さらに組織には、「監視者」と呼ばれる外部有識者・権力者たちの評議会が存在した。監視者はヴェーダのレベル3アクセス権限を保有し、組織の介入行動がイオリアの理念から逸脱していないかを監視するチェック機関として設計されていたが、アレハンドロ・コーナーをはじめとする監視者たちが権力欲と個人的野望から組織を裏切り、擬似太陽炉や技術データを国連軍側へ横流ししたことで、この制度そのものが機能不全を起こし瓦解していく。組織の暴走を防ぐために設けられたはずの仕組みが、内部の人間の欲望によって最も深刻な脅威に転化してしまう――この構図は、ソレスタルビーイングという組織が抱えていた根本的な脆さを象徴している。

アレハンドロ・コーナーは監視者でありながらソレスタルビーイングを裏切っていた
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

種舟としての「ソレスタルビーイング号」

イオリア計画の最終段階を象徴する最大級のインフラストラクチャーが、コロニー型外宇宙航行母艦「ソレスタルビーイング号」である。小惑星を直接掘削・建造して生み出されたこの超大型艦船は全長15km以上に達するとされ、普段は月の裏側に光学迷彩を展張して潜伏していた。建造の基礎理論と設計はイオリア・シュヘンベルグ自身が遺したものであり、本来は太陽炉を基幹動力として外宇宙へ航行する「動くコロニー・対話用惑星間拠点」として構想されていたものである。

イノベイター勢力との決戦時には、この艦はリボンズらの本拠地として用いられ、表面に多数の疑似太陽炉を消費する超巨大ビーム砲を装備した要塞として機能した。しかし、こうした軍事転用はイオリアが遺した本来の設計思想からは大きく逸脱したものであった。その建造目的の根底にあったのは、あくまで人類を外宇宙へ送り出すための巨大な「種舟」としての役割だったのである。

小惑星を利用した外宇宙航空母艦「ソレスタルビーイング号」
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

GNドライブ(太陽炉)という永久機関

ソレスタルビーイングの圧倒的な軍事力の源泉は、「GNドライブ(GUNDAM NUCLEUS DRIVE)」、通称「太陽炉」と呼ばれる特殊動力機関にある。GNドライブは、宇宙空間に存在する位相欠陥「トポロジカル・ディフェクト」を採取し、粒子加速器を用いて木星の超高気圧・高重力環境下で閉鎖空間へ投入・安定化させることで完成する、地球上では再現不可能な製造プロセスを持つ機関である。このプロセスによって生成されたオリジナルGNドライブは、半永久的に光子変異粒子「GN粒子」を生成し続ける永久機関的性質を有しており、機体に無限に近い航続時間、圧倒的な推力、機体の質量軽減効果、通信攪乱、そして強力なビーム兵器の運用能力を付与する。

これに対し、設計データ流出後に国連軍や地球連邦軍、アロウズが量産したのは「擬似太陽炉(GNドライブ[T])」と呼ばれる代替機関である。擬似太陽炉はトポロジカル・ディフェクトの核を持たないため、粒子生成が時限式――外部電力による充電、あるいは内蔵資材の減衰に依存する仕組み――となっており、発生するGN粒子も赤色・紫色の有毒性・細胞侵食性を持つ変質粒子となる、構造的な欠陥を抱えていた。本物の太陽炉と、その模倣品にすぎない擬似太陽炉との技術格差は、そのままソレスタルビーイングと、彼らを模倣しようとした国家勢力との力の差を象徴していたと言えるだろう。

ガンダムの背部に搭載されたGNドライブ
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

ガンダム五世代の進化とツインドライヴ理論

ソレスタルビーイングのモビルスーツ開発は、明確な世代交代を経て技術的な進化を遂げていった。第一世代「GN-000 0ガンダム」は、すべての太陽炉搭載機体の原点であり、太陽炉周辺の構造や制御コーンが大型であるなど技術的な未成熟さが見られたものの、その基本概念は以後のすべてのガンダムへと引き継がれている。第二世代(アストレア、サダルスード、アブルホール、プルトーネ)は、多様な兵装や特殊機能――粒子ビーム、センサー、変形、裁定システム――のデータ収集を主目的とした実証試験機群であり、西暦2295年頃に発生したとされる「プルトーネ事故」などの失敗と犠牲を経て、システムの安全性と機能が向上せしめられた。第三世代(エクシア、デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ)は、西暦2307年に開始された武力介入の実戦投入機であり、近接格闘、遠距離射撃、高機動空戦、重火器・拠点防衛という各戦術領域に特化した強力なスペックを実現している。

第四世代以降の開発で実装された核心技術が「ツインドライヴシステム」である。これは2基のオリジナルGNドライブを単に並列配置するのではなく、個体間の量子調和を同調稼働させることによって、粒子生成量を単純な足し算ではなく、掛け算的に――二乗のスケールで――増大させるという理論である。ダブルオーガンダム(GN-0000)において初めて実装されたこのシステムは、マッチングの極めて難しいオリジナルの太陽炉(エクシアと0ガンダムの太陽炉)を同調させる必要があり、当初は同調率が安定せずトランザムシステムの不具合を引き起こしていたが、オーライザーに搭載された高度な安定制御装置を合体・連動させることで完全同調が達成され、爆発的な粒子量と「量子化」現象を引き起こす領域へと到達した。

このツインドライヴの技術的極致として設計されたのが、第五世代機であり「対話専用機」としての使命を与えられた「GNT-0000 ダブルオークアンタ」である。直列接続された完全同調型ツインドライヴと「クアンタムバースト」モードを備えた同機は、兵器としての破壊力を振るうためではなく、高濃度GN粒子による超広域脳量子波領域を展開し、地球圏へ来訪した異種生命体(ELS)との非言語的・精神的相互理解――すなわち「対話」――を成立させるための、絶対的なプラットフォームとして機能したのである。

世代代表的機体名称搭載動力源主な技術的革新・設計思想劇中における主な役割
第1世代GN-000 0ガンダムGNドライブ(オリジナル)太陽炉搭載型MSの原点。基礎フレームおよび粒子制御の検証各種実験、後年の予備戦力・最終決戦機
第2世代ガンダムアストレア、ガンダムプルトーネ 等GNドライブ(オリジナル)特殊機能(裁定システム、兵装同調、変形機構)のデータ収集武力介入前の試験運用、フェレシュテでの運用
第3世代エクシア、デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ 等GNドライブ(オリジナル)単機での局地戦・特定戦術への高度特化。GNフィールドおよびトランザムの秘匿搭載西暦2307年からの第一次武力介入作戦の直接遂行
第4世代ダブルオーガンダム、ケルディムガンダム 等GNドライブ×2(ツインドライヴ)またはオリジナル1基2基の太陽炉同調による粒子生成量の二乗化理論の実装イノベイター勢力およびアロウズの抑圧構造に対する再介入
第5世代ダブルオークアンタ新造同調型GNドライブ×2クアンタムシステムによる高濃度脳量子波領域の展張と意識共有異種生命体(ELS)との「来るべき対話」の成立と外宇宙進出
圧倒的なGN粒子生成量を誇るツインドライブ
画像引用元:『機動戦士ガンダム00』 ©バンダイナムコフィルムワークス

歴史の触媒として ― ソレスタルビーイングとは何だったのか

ソレスタルビーイングという組織の全貌を俯瞰したとき、その最大の特異性は「自らが滅びる、あるいは悪として歴史に刻まれることすら織り込み済みの、歴史改変システムとして設計されていた」という一点にある。イオリア・シュヘンベルグが考案したメカニズムは、絶対的な武力介入によって人類に共通の脅威を認識させ、国家という枠組みを超越した「地球連邦」という単一の意思決定・防衛機構を強制的に誕生させた。さらに、疑似太陽炉の流出や監視者の裏切りといったシステム内部の人間的なノイズすらも、統一政府の軍備強化と世界の平準化という第一・第二段階のプロセスを加速させる推進力へと転換されていったのである。

武力による破壊の果てに誕生した地球統一社会は、ダブルオークアンタに象徴される「対話のテクノロジー」と、純粋種のイノベイターへの進化を経て、ついに外宇宙生命体との相互理解――「来るべき対話」――を成功させるに至った。ソレスタルビーイングとは、単なる一兵器群やテロリズム的武力組織ではなく、自らを犠牲にして人類を種としての幼年期から脱却させ、広大な宇宙へと羽ばたかせるために仕掛けられた、「歴史上の巨大な触媒」であったと言えるだろう。


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参考文献

一次情報

  • テレビアニメ『機動戦士ガンダム00』1st Season(サンライズ、2007年)
  • テレビアニメ『機動戦士ガンダム00』2nd Season(サンライズ、2008年)
  • 劇場版『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』(サンライズ、2010年)

二次情報

※二次情報は主にファン運営のWiki・まとめサイトであり、記述には検証不十分な情報や執筆者独自の解釈が混在する可能性があります。本稿では複数の情報源で内容が一致した事項を優先的に採用しましたが、細部の解釈については異説が存在しうる点にご留意ください。

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