バスク・オム / Bask Om

キャラクター

バスク・オムは『機動戦士Ζガンダム』に登場する地球連邦軍特殊部隊ティターンズの幹部であり、実質的に部隊の軍務を統括した人物である。徹底したアースノイド至上主義者であり、スペースノイドを弾圧対象と見なしていた。非人道的な作戦をも躊躇なく実行する冷酷な指揮官として描かれ、ティターンズの強硬路線を象徴する存在となった。

画像引用元:『劇場版 機動戦士Zガンダム』©創通・サンライズ

概要

  • 登場作品:機動戦士Zガンダム、機動戦士ガンダム 0083 STARDUST MEMORY
  • 所属:地球連邦軍 ティターンズ
  • 階級:大佐
  • 年齢:37歳(0083では33歳)
  • 搭乗艦:アレキサンドリア、ドゴス・ギア、ブルネイ、サラミス改級巡洋艦「マダガスカル」
  • 声優:郷里大輔

バスク・オムの人物像と思想

バスク・オムは徹底したアースノイド主義者であり、スペースノイドを明確に劣等視する姿勢を隠さなかった。作戦行動においては、市民の犠牲を顧みず毒ガスを用いたコロニー住民虐殺を行うなど非人道的な手段を平然と選択する。また、戦闘では射線上の友軍をもろともに攻撃し、味方の犠牲を厭わない冷酷さを示した。

その性格は極めて尊大で、同格の将校に対しても傲岸不遜に振る舞い、部下の異論には鉄拳制裁で応じることもあったとされる。スペースノイドへの憎悪は、一年戦争時に負傷して視覚障害を負い、常時ゴーグルを装着せざるを得なくなったことに起因するとされる。

一方で、作品によってはこの経緯が異なって描かれている。小説版『機動戦士Ζガンダム』では、一年戦争時に前線に出ていなかったか、あるいは従軍自体していなかった可能性が示唆されている。また、遠藤和久による外伝『サイドストーリー・オブ・ガンダムΖ』では、ジオン軍に捕虜となった際の拷問が原因で半身不随となり、それがスペースノイド憎悪の源泉とされている。

指揮官としてのバスク・オム

非人道的な作戦を立案・遂行することで知られるバスク・オムであったが、その人物像は単に冷酷な指揮官としてのみ描かれるわけではない。部下からはしばしば「戦術の天才」と評され、最前線に立って直接指揮を執り、兵士を叱咤激励する姿勢は高い指揮官としての資質を示していた。

また、作戦の残虐性が部下に直接悟られぬよう周到に立ち回るなど、一定の策略性も備えていた。さらに、癖の強い将兵を巧みに統率し、組織の枠組みを維持する能力にも長けていた点は特筆に値する。ティターンズという組織において、バスクはその苛烈さゆえに危険視されつつも、不可欠な戦力として機能していたのである。

このため、彼の暴走に危惧を抱いていたジャミトフ・ハイマンですら、最終的にバスクを切り捨てることはできなかった。また、敵対勢力であるエゥーゴからも、その存在は常に看過し得ぬ脅威として認識されていた。

ジャミトフ体制下での台頭:バスク・オムとティターンズ創設

宇宙世紀0083年、バスク・オムは地球連邦軍宇宙軍第3地球軌道艦隊司令ジョン・コーウェン中将の麾下に属していた。しかし、同じ連邦軍内でコーウェンと対立していた財務高官ジャミトフ・ハイマン准将の腹心として暗躍し、彼の勢力拡大を裏から支えていた。

デラーズ紛争において、星の屑作戦の責任を問われたコーウェンが失脚すると、ジャミトフは自らの構想する新組織ティターンズを設立。その際、バスクは実戦部隊の総司令官として抜擢され、以後はジャミトフの意を体現する強硬な現場指揮官として活動していくこととなる。

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軍規逸脱と権力の暴走:バスク・オム指揮下におけるティターンズの作戦行動

ティターンズの総司令官となったバスク・オムは、法や軍規を顧みない苛烈な作戦を遂行し続けた。宇宙世紀0085年7月31日、サイド1・30バンチコロニーで住民による反地球連邦デモが発生すると、彼は使用が禁止されていた毒ガス(G3)をコロニー内部に注入。わずか一日で1,500万人に及ぶ住民を死に至らしめた。この事件は「激発的な伝染病」と公式発表され、徹底した報道管制によって隠蔽される。

やがて0087年に勃発したグリプス戦役においても、その残虐性は一層際立つ。人質を盾にした強硬作戦、月面都市グラナダへのコロニー落とし、中立コロニーに対するコロニーレーザーの照射や毒ガス注入など、非人道的な行為はエスカレートの一途をたどり、ティターンズの暴走の象徴として歴史に刻まれることとなった。

関連記事:グリプス戦役

ティターンズ内部抗争の萌芽

数々の非道な作戦は、ティターンズ内部のみならず外部からの信頼をも著しく損なった。その結果、組織は地球連邦内における優遇的立場を次第に喪失していくこととなる。バスク・オムの苛烈な行動は、短期的には恐怖による統制を可能としたが、長期的にはティターンズの存在意義そのものを揺るがす要因となった。

こうした状況において、創設者ジャミトフ・ハイマンもまた、バスクの行動に対して強い懸念を抱くようになる。ジャミトフにとってティターンズは、彼自身の思想を体現するための政治的・軍事的装置であったが、バスクはその深層にある理念を理解せず、権力欲に基づく暴走を繰り返した。この乖離は、両者の間に深刻な不信を生み出していった。

その帰結として、ジャミトフは木星船団の指揮官パプテマス・シロッコをティターンズに迎え入れるという決断を下す。この人事は、組織に新たな戦力を導入する試みであると同時に、バスクを牽制する意図を含んでいたと考えられる。

しかし、この処置は逆にティターンズ内部に権力闘争の火種を持ち込み、後の組織崩壊へと直結する契機となった。バスク自身もまた、シロッコの登用を自らに対する挑戦と受け取り、激しい対抗心を燃やすに至ったのである。

バスク・オムの最後

宇宙世紀0082年2月、パプテマス・シロッコはジャミトフ・ハイマンを暗殺し、ティターンズの全権を掌握した。この政変によって後ろ盾を失ったバスク・オムは、総司令官としての地位と影響力を急速に喪失していく。

その後もバスクはシロッコに対して恭順を示さず、表立って反発を続けた。最終的に、彼はレコア・ロンドの操るパラス・アテネによる攻撃を受け、旗艦ドゴス・ギアと共に爆散し、その生涯を閉じた。

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』での活躍

『機動戦士Ζガンダム』以前を描いた外伝作品『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(宇宙世紀0083年)において、バスク・オムは地球連邦軍士官として登場する。形式上はジョン・コーウェン中将の麾下に属していたが、実際にはジャミトフ・ハイマンの指示を受けて密かに行動していた。

デラーズ紛争の終盤においては、コーウェンの了承を得ぬままその指揮下を離脱し、ジャミトフから第1地球軌道艦隊司令代理の地位を与えられる。そして、地球へ落下するスペースコロニー「アイランド・イーズ」を迎撃すべく、ソーラ・システムⅡによる破壊作戦の指揮を執った。しかし作戦はデラーズ・フリートの妨害によって頓挫し、バスクは強引にソーラ・システムⅡを稼働させる。結果として、デラーズ・フリート残党のみならず友軍艦隊をも巻き込み、無差別に攻撃を行うという凶行に及んだ。

参考文献

  • Wikipedia『バスク・オム』
  • 『機動戦士Zガンダム』 創通・サンライズ
  • 小説版『機動戦士Zガンダム』 角川書店
  • 『ガンダムMS&人物列伝: 機動戦士ガンダム・機動戦士Zガンダム編』 PHP研究所
  • 『サイド ストーリー オブ ガンダム Z』 電撃コミックス

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